デジタルサービス税の背景

現在、各国でAmazonGoogle を標的とした「デジタルサービス税」が検討されています。

 

背景

Webなどのデジタル企業の実効税率は既存企業の半分以下しかなく、「デジタル企業に比べて従来企業の税負担が重い。現行制度は不公平で、公平では無い」との声から生まれたのが、「デジタルサービス税」です。

国際課税ルールでは「恒久的施設がなければ課税なし」ルールがあり、支店や工場がなく倉庫があるとしても、商品の保管・引き渡しだけを行う倉庫は恒久的施設とならない。

このルールを元にAmazonなど倉庫のみある国では、法人税は課されない背景があります。

 

デジタルサービス税

デジタルサービス税は倉庫・支店など関係無く、総売上税の形をとり、税制の枠組みから逃れているデジタル活動の売上げに適用されます。

 

対象

●オンライン広告の販売(Amazon楽天など)

●使用者の交流から、モノやサービスの販売を仲介するサービス(Facebook •メルカリなど)
●使用者が提供した情報から創出されたデータの販売(Google など)

 

EUの場合

中長期的な法人課税ルール改革が実現するまでの暫定措置として、加盟国ごとの売上高の3%分を課税を検討。50億ユーロ(約6500億円)の税収を見込む。

課税対象企業は「全世界で年間売上高が7億5,000万ユーロ以上」「EU域内の売上高が5,000ユーロ以上」との条件です。

 

英国の場合

英国の消費者向けのデジタル事業の売上高に課税、2020年4月から導入。

課税対象にするのは、デジタル事業の世界売上高が5億ポンド(約720億円)以上のIT企業です。

デジタル事業で得た売上高に2%を課税。年間4億ポンドの税収を見込む。

 

日本の場合

今年の4月1日から、恒久的施設の定義の法改正し、税の不公平を無くす努力をしています。

定義の法改正で、倉庫など保管・展示・引き渡しなどを行う場所でも、その活動が事業の遂行にあたり、準備的または補助的な性格のものでない場合、恒久的施設に該当し課税される事に変更。更に、委託者の資産の所有権移転などを委託する場合でも、課税されることと変更されました。

但し、外国との間で結ばれた租税条約の規定が、国内法より優先するので、課税されません。1番問題となっている米国との間では、日米租税条約がある為、AmazonGoogle など米国籍の企業の事業に対し、すぐに適用されない状態です。

 

GoogleAmazonFacebookAppleGAFA)などの米巨大企業は非常に便利なサービスを提供してくれますが、各国の企業サービスを壊していってます。

国民の不満の声から、自国のサービスを守る「デジタルサービス税」や「税の改正」は各国で導入されていきます。

ただ、それでも「GAFA」の優位は揺らぎません。